「声がした方に行ってみたら、清水くんが花壇に水あげてて。」


心臓が痛くなってきた。


苦しい。


「それでどうしたの?」


清水くんの優しい声。


がんばれ、がんばれ私。


「すごく綺麗に咲いていて、手紙を書いたの。

『きれいに咲いてますね。』

って、それで、きゃ。」


なっなに。


突然、強く抱きしめられた。


顔が胸に強く押される。


「やっと言った。」


「えっ?」


「やっと言ったな。」


顔を見上げれば、満面な笑顔。


「えっ?
えっ、私って、知ってたの?」


「もちろん。」


紅茶色の瞳が光る。


「なんで?
だって名前書かなかったよ。」


「名前はな。」


クスクス笑う清水くん。


えっ?


えっ?


えーー?