「土手行かね?」 「土手?」 「寒いからほんの少しだけだけど」 あたしがいいよ、と言うといつもと反対の河川敷のほうへ自転車を走らせた。 ここら辺、よく知らないな…… でも颯太となら、どこにでも行ける気がする。 夕陽が川にきらきら光る。 あたしたちは二人並んで草原に座る。 「いいね、こういうとこ。きれい」 「だろ?なんか悩んでるとき、ここ来るんだ」 「おうち、近くなの?」 「うん。すぐそこ」 ……すぐそこって、なんて曖昧な(笑) 「ていうか、それならなんで今日ここに来たの?悩み事?」