「傍にいてやんよ」




あたしは教室を飛び出した。


颯太とちゃんと話したくて。


“そういうこと”って、たぶん誤解してる。


ひたすら走った。


靴箱が、校内にはもういないと証明している。


駐輪場にもいなかったら、あきらめよう。


そこへ行くと、見慣れた人影を見つける。


「そうたっ!」


「…なに?」


「あの……さっきの、誤解なの」


「は?」


「えと…その、なんていうか…」


こういうときうまく言えない。


「はやく晴んとこ行けよ」


……え?


「ち、違うの!はる君とあたしは…」


「お前らの話なんかききたくねぇ」


「…そうた?」


振り向いた颯太は、どこか寂しそうな顔だった。


そのままなにも言えずに、颯太は自転車にまたがり行ってしまった。