「いってきます」 もみじがちらつくこの頃、朝は肌寒いことが多かった。 「寒い‥‥」 ブレザーのポケットに手を入れて、学校までの道を歩いていた。 角を曲がったとき、見慣れた後ろ姿を見つけた。 ‥‥‥颯太? いつもは自転車なのに‥‥ 歩き?めずらしいな。 「そうたっ!」