なにも言わないから、不安になった。 「どうしたの?」 そうきいても、答えてくれない。 ―――グイッ ‥‥‥‥‥‥え 一瞬のこと。 颯太はあたしの手を強く引いた。 あたしは颯太の胸に抱きよせられる。 「そう‥‥た?」 遠くから、花火が絶え間なく続く音がする。 花火はフィナーレを迎えていた。 真昼のように明るくなるアスファルトに、ふたりの影が浮かんでいた。