「突然、現れたんだ。俺の前に・・・」
『誰が?』
サユリは、俺の話を聞いてくれた。
「凛花に、顔も声も似すぎなくらいの子が・・・
俺の前に突然現れたんだ」
『うん』
「ただ、似ているだけじゃない。怖いぐらい、似過ぎなんだよ。
それに・・・」
この話をしながら、気づけばなぜか、俺の目から涙が静かに溢れていた。
「それに・・・彼女、あの曲を弾くんだ」
『あの曲?』
「覚えてないか?ほら、凛花がよく音楽準備室で弾いてた曲」
『もしかして・・・月の光?』
「俺のバイト先に、ピアノの演奏者として、アルバイトに来てる子なんだけど、
その子、その曲弾いてたんだ。今でも、その曲弾いてるんだけど、その曲聴くたびに、あの頃の凛花を思い出すんだ」
『そんなに、凛花と同じなんだ』
すると、サユリは少し考えてから再び俺に言った。
『雄大?さっきも言ったけど、凛花は凛花だよ』
「わかってる・・・」
『じゃあ、どうするべきかもわかるんじゃない?』
「えっ?」
『その子は、凛花じゃない。それだけは、言える』
「サユリ・・・」
『それに、もしその子に凛花を重ねてるんだったら、その気持ちは違うと思う。
だけど、その子自身を見て、雄大が何かを感じているなら、その気持ちに素直になってほしいと思う。
それは、凛花も同じだと私は信じてる。
さっきも言ったけど、凛花は雄大を本当に大切に思ってたから、誰よりも雄大の幸せを願っているはず』
「サンキュー、サユリに話してよかったよ。
じゃあ、また」
俺は、電話を切った。
そして、そのまま流した涙を拭った。
