「あのさ・・・」
私の方へ、近づいてくる雄大を見て、私はずっと聞きたかったことを言おうとしていた。
「うん?どうした?」
「あの・・・」
その時だった。
♫ブブブーブー
また、雄大のスマホが音を鳴らした。
「ほら、出なよ!彼女からだよ!じゃあ、お疲れ!」
私は、わざとそう言って、急い一人駅へ向かった。
「おい、麗菜!」
雄大に呼ばれても、私は振り返ることなく、走り続けた。
私には、越えられない壁がある。
越えようとすると、いつも何かが邪魔をする。
雄大は、何かを抱えている。
わかっているし、その事実を私が知ったところで、何か変わる訳でもないことはわかっている。
だけど、いつも思う。
雄大が私を見る時、本当に私を見ている時と、私を通して誰かを見ている時がある。
その誰かが、雄大にとってどんな人なのか、私は知りたかった。
でも、知ってはいけない気もしていた。
だから、聞きたいのに、聞けない。
越えられない壁は、この先も越えられないままなのかもしれない。
