花火☆letter


最後のお客さんを見送り、今日もバイトが終了した。

私は、さっきまで弾いていたピアノを片付け始めた。


その時、目の前にエプロン姿の雄大が現れた。


「あのさ」


「うん?」


「なんで、あの曲なの?」


「えっ?」



「いつも、どうしてあの曲弾いてんの?

ド●ュッシーの『月の光』」


私は、びっくりして雄大に聞き返した。


「知ってるの?雄大、クラシックとか聴くの?」


「いや、あの曲だけ知ってる」


「どうして?」


「えっ?」


あっ、まただ。

そう思った。


雄大は、時々こんな風に、私が尋ねたことに答えられない時、困った顔をする。


私は、それ以上踏み込んだらいけないと、直感で感じている。


だから、そう言う時は、いつもそれ以上のことは聞かないようにしている。