花火☆letter



お店は、忙しい時間帯になり、俺もバタバタ走り回っていた。


晴人のグループもみんな揃ったかも、知る由もなく、俺はただ自分の仕事をしていた。


その時だった。



「あっ、雄大!トイレどっち?」


晴人が個室から出たタイミングで、たまたま会った俺に尋ねた。


俺は、そんな晴人に取り合ってあげられるほど、暇ではなかった。


「トイレ?あっ、あっち」

そう抱えていたトレーで、トイレの方向を指し、急いで仕事に戻った。


「失礼します」


晴人の部屋に、注文のビールを届け終わると、丁度トイレから晴人が戻ってきた。


「雄大!忙しそうだな」


「おう、土曜日は混むからな」


「あっ・・・」


俺から視線を逸らした晴人は、突然手を挙げた。


「麗菜!こっちこっち!」


「あっ、晴人!!」


背中に飛んできたその声に、俺はドキッとした。


この声・・・


俺はその場から動けず、振り向くことができなかった。


「あっ、こいつ俺の大学の友達!」


晴人がそう俺を紹介したその時、俺は彼女を見て、持っていたトレーを思わず落としてしまった。



「りん・・・か・・・?」



ずっと見てみたかった。


成長した凛花の姿を・・・



だけど、それは叶わない夢だった。



でも・・・・・・



でも・・・・・・




「おい、雄大!大丈夫か?」


俺の落としたトレーを心配そうに拾い上げる晴人。


「あっ・・・わりい・・・」


「あっ、麗菜、高校の同級生」


俺の前に現れたその子は、俺を見て、そっと頭を下げた。



「これで、全員集合したな」


「えっ?私が最後?ごめん」


「ほらほら、入った入った!」


そう言って、個室へ入っていた2人。


そこに取り残された俺は、しばらくそこから動くことができなかった。