「お待たせ!面接終わったよ!」
店長が厨房に俺たちを呼びにきた。
「店長、演奏者決まりそうですか?」
時任さんが店長に尋ねた。
「うん、最後に来た子が演奏も条件もいいから、採用しようかと思ってる」
「ああ、最後に来た大学生の子ですね。
可愛らしい子でしたね」
「時任さん、見たんですか?」
俺は思わず時任さんに尋ねてしまった。
「うん。来た時、私が対応したの。
音大生って言ってましたね」
「音大生」
「ああ、ピアノ専攻じゃないとは言っていたけど。
でも、あれだけ弾けてたら問題ないだろ。
さあさあ、仕事仕事!」
店長に促され、俺たちは仕事に戻った。
俺は、その子が弾いた『月の光』がどうしても耳から離れなかった。
