花火☆letter



ある日、カフェのバイトへ向かった俺。


「お疲れ様です」


「お疲れ、佐武くん!」


厨房からホールへ抜けようとしたその時、同僚の時任さんに止められた。


「佐武くん!もう少し待って」


「えっ?」


「今ね、面接してるの」


「面接?」


「ほら、うちのカフェ、夜のバー始めるって言ってたじゃない?

その時に、生演奏する人募集してたみたいで、今日何人か休憩時間に来て面接してたんだけど、

最後の子が今来てね。もう少しこっちで開店準備して待ってて」


「わかりました」


その時だった。


俺の耳に聞こえてきた曲は、最近聞いたあの曲だった。


「あっ、月の光・・・」


「えっ?佐武くん、知ってるの?ピアノの曲なんて」


時任さんが驚いた顔で俺を見た。


「あっ、いや・・・この曲だけたまたま」


「へえ・・・」


意外というような顔で俺を見ていた。



でも、この曲なんだか懐かしい気持ちになった。

なぜか、中学生の頃を自然と思い出す、そんな優しい音色をしていた。


俺は、弾いている人の顔を少し覗いて見たくなった。


だけど、厨房からは、ピアノに隠れて、弾いている人までは見えなかった。