花火☆letter


晴人と昼飯を食べ終わると、俺たちはその場で別れた。


「じゃあ、俺こっちだから」


「予約頼むな!」


「はいはい、じゃあな」


俺は一人、自分家の方へ向かって歩いた。



その時、楽器屋さんの前を通り過ぎようとした時、自然と足が止まってしまった。


楽器屋さんの中から聞こえてくる音楽に、耳を傾けた。


思わず、ドアを開け、お店の中に入ってしまった。


「いらっしゃいませ」


優しそうなおじさんが迎えてくれた。


「あのう・・・」


「何かお探しですか?」


正直、音楽のことはよくわからない。

なのに、楽器店なんかに入ってしまった俺。

だけど、その場から動くことができなかった。


「あのう・・・お客さん?」


立ち止まった俺を不思議そうに見ていたおじさんに気付き、俺は慌てて尋ねた。


「あっ、すみません。あのう、今流れているこの曲って・・・」


俺は、店のBGMの曲について尋ねた。

「ああ、ド●ュッシーの『月の光』ですね」


「月の光・・・」


「楽譜をお探しですか?それとも誰かのCDとか?」


「あっ、いえ、すみません。何の曲か知りたかっただけです。

失礼します」


俺は慌てて店を後にした。


凛花がよく弾いていた曲。


もう何年も聞いていない。


ふとまた凛花を思い出していた。