どうしよう…。

いつまで誤魔化せる?

このまま、誤魔化し続けなければならない?

ユキンコに心配されてる私は、彼女の腕の中で、

溺れた時に抱えてくれた、彼の腕と…胸の感触を思い出してドキドキしてる。

理不尽な私の気持ちを追い払いたくて、ユキンコに何か言おうとしたけれど、

「ケホッ…私も…びっくり…した」
そう答えるのが精一杯だ。

「栄祐!」

ユキンコが突然、彼を呼ぶ。

私は、下を向き、砂をじっと見つめながら、二人の会話を聞いている。

「本当に大丈夫?」

ユキンコの問いに、彼が返事をする。
「あぁ、大丈夫だよ」

「栄祐、立てる?」

立てるかな?
ユキンコも…心配だよね。

「…立てるよ」

良かった。

「車にタオルあるでしょ?」

「タオル?」

「テディの大きなやつ!私の膝掛けにしてるやつ!」

「あぁ、乗せっぱなし…」

「持ってきて!」