Better half

そして、脱いだサンダルを片手に持ち、

“ユキンコも脱ぎなよ”
とばかりに、持ったサンダルを少し持ち上げて、ブラブラ揺らした。

その誘いに乗り、私もヒールのあるサンダルを脱ぎ、ジーパンを捲り上げる。


そして
どちらが合図する訳でもなく

私とユウは、海に向かって走った。

「ひゃーっ!!」

サンダルを脱いだ解放感と砂の感触が気持ち良い。

ザザザーン
ザザザーン

──バシャバジャ


ユウの足が先に、打ち寄せる波を捉えた。

「ひゃっ!冷たいっ」

立ち止まり、肩をすくめるユウの細い髪が、フワリと潮風に揺めく。


間もなくして、私の足にも、海水の冷たさが伝った。

「うーん!気持ちイイーッ」

そう言いながら私は、栄祐の方を振り返って見る。

ゆっくり歩いてくる栄祐は、眩しそうな顔をしてる。

「えいすけーっ!写メ撮ってよぉ」

私がそう叫びながら手を振ると、彼は右手で丸を作った。