Better half

──海辺に建つ海鮮丼屋に着いた。

今日の目的だ。

雑誌で見て、ずっと来たかった、この海鮮丼屋は、

小さな店構えだけど、新鮮で、丼ぶりから、はみ出す程大きめに切ってあるお刺身が売りだ。

それに…私の大好きな、ウニとイクラの量が半端じゃない。

そんな海鮮丼が目的のドライブ。


 「いらっしゃいませぇ」
のれんをくぐると、活気のある、店主の声。

まだ、開店時間が過ぎたばかりのせいか、それとも、海開きがまだだからか、店内にお客は、一組しかいない。

席数が少ない為、混んでて入れないこともあるって雑誌に書いてあったから、ラッキーだ。


 店に入ったのはいいけど、トイレに行きたい私。

「栄祐ぇ、私、トイレに行って来るから、ユウと先に座ってて!」

そんな私に、

「うっ、俺も行きたい」

と栄祐。

そんなやり取りに、店の三角巾を被ったおばさんの、

「おトイレは、一人ずつねぇ」

と、かすれた声。