Better half

　担任は、増渕と言う男の先生。

いつも、adidasか、NIKEのジャージを着てた。

眼鏡を掛けてる先生の、生徒を叱る前にギュッっと口を結ぶ表情は、きっと誰もが、緊張する瞬間だと思う。

普段は、優しい先生だけど、この先生に叱られたく無いから、皆、真面目な態度になる。

今、思い返せば、増渕先生は、当時４０歳を過ぎてたんじゃないかなぁ…と思うけど…？

――――

　『きりーつ！』

号令と共に、みんな立ち上がる。

『れいっ！』

お辞儀と共に、教室に揃い響く、先生とみんなの声。

『おはよーございます』

『…着席！』

全員が着席をすると、増渕先生は、教壇の前に立ったまま、両手を後ろに回し、ムギュッと閉じた口元を緩ませた。

『今日は、転校生が来ました。中里さん入って』

その言葉に、珍しく教室がざわめいて、皆の視線が教室のドアに集まり、

窓際の後ろから三番目に座ってた私も、開けっぱなしのドアに注目した。

増渕先生の手招きに、不安そうな表情で、教室に入って来た、その子に、更に注目は集まる。