「それは君の中にあるだけの恐怖の妄想。
別に俺は君に危害を加えるつもりはない。
からかって遊ぶことはあるだろうけど(笑)」

シュガーはケラケラ笑った。

「私は『君』じゃなくて、かのん。シュガーよりも85才も若い高校生よ!」

それは失礼!と言うように、シュガーは眉を上げて口をへの字にしてみせた。

「おっと!こうしちゃいられい。はやく行かないとね!」

「行くって、どこへ?」
私はあわてて尋ねた。

「どこって…かのんが好きなところさ。飛行機の中で太陽に恋してたろ?」

-はぁぁ!!?太陽?

「何言ってんの?
太陽なんて行けるわけないじゃん。恋してないし。」

シュガーはニヤリとした。

「それはかのんの頭の中だけの話。行けばわかるって!」

シュガーはかのんの手を握り太陽の方角に視線を向けた。


「無理だって!私の体は焼けて肉の塊になっちゃう!!」
必死に抵抗するかのんのことなんかおかまいなしに、
シュガーは雲の上から飛び立った。

かのんは初めて空を飛んだ。