ずっと

そんなメル友たちの中で、彼はプリクラが欲しいと一度もメールで送って来る事は無く、ただ《電話で話しがしたい》とだけワタシに訴える。


「・・・・・・・」

ワタシは彼の申し出に迷って困って・・・
すぐにはOKを出せず、ワタシは胸の内を正直に返した・・・

《電話は・・・苦手。自分の声が好きじゃなくって・・・電話で話す勇気が今はまだ持てないんだ、だから・・・もう少し待ってくれるカナ?》

《勇気? 電話で話しするだけなのに?》

「・・・・・・・」

《ワタシ、声が低くて・・・オトコみたいだから、すごくコンプレックスなんだ・・・》
小さい頃から、声が低くてオトコの声に間違われてしまうくらいで・・・まだ高校生だったワタシには、自分の声が恥ずかしいコンプレックスの一つだった。
もちろん、学校の友達やバイト仲間とは始めから、お互い顔も声も知ってるワケで・・・でも、初対面の瞬間から声を聞いてる人なら平気で喋れるんだけど・・・彼とは仲良くなったとは言え、ソレは、メールの世界の事であって・・・
逆に仲良くなってから自分の声を聞かせると言うのが、余計コンプレックスに対する想いを強くさせていた。

《声が低いのなんか 気にしなくてもいいのに。 俺は気にしない
けど、電話で話してもいいと思うまで待つよ。》

《うん・・・ゴメンありがとう》

彼はワタシのキモチを尊重して、電話の件は《そのうち》と言う流れになり、ワタシはホッとしていた。そして彼の優しさに改めて、イイ奴だ・・・と思った。



〜今はまだ不安だけど、いつか・・ううん、もう少ししたら・・・彼と話そう〜