私のせいで目が覚めてしまった雄一は、私を学校へ送り出すまで起きていてくれた。

いつものように彼は、シャワーから上がった私の髪をドライヤーで乾かし、朝食の用意をした。


「いってらっしゃい」


玄関で、私の頬に優しくキスする雄一。


「いってきます」


私はニコッと笑い、家を出た。

これが私達の日常。


今時期はどこの大学でも、学年末の課題が山盛りに出されている。

もちろん、私も雄一もその課題に苦しむ生徒の一人だ。

バイトやサークルで忙しい雄一が課題に手をつける暇は夜中くらいしかない。

どうやら昨日も明け方まで課題をやっていたらしい。


(起こしちゃって、悪いことしちゃったな…)


そう思いながら、マンションのエントランスを抜けて、3階のベランダに目を向ける。

太陽の光が眩しくて、私は一瞬目を逸らしてしまった。

けれど、そこに煙草をくわえて大きく手を振ってる雄一の姿が見えた。


「いってくるねー!!」


私は彼に向かって大きく手を振った。