数学の授業中、桐田君は窓の外をずっと見ていた。

まだ一回も顔を見ていないけど、
美波は少し桐田君のことを気にかけている様で、
ちらちらと授業中に見ていたから、もしかしたらもう見たのかもしれない。

桐田君の方はというと、全くクラスに興味がないみたいで、
休み時間に興味深々の皆をあまり相手にしていなかった。


美波が話しかけても、少し顔を美波の方へ向けはするけど、
小さくうなずいたりするだけで全くと言っていいほど反応を示さない。


しばらくして、全く興味がなさそうな桐田君に飽きた皆はいつも一緒にいる
それぞれのグループでいつものように雑談していた。


その中で席を立たずに一人だけ孤立しているようにも見える彼は
外を眺めたままだった。