説明を聞き終わるころには街は夜を迎えて街灯の光と車のライトが静かに暗闇のなかでゆれていた。
『こんなに綺麗な世界なのは人が作り出したからなのかな…』
呟く俺をみて秋斗さんと春斗は同時に首を横にふる。
『現実世界はもっと空気がうまいぞ。』
『本当の自然は人の作り物なんかにゃ絶対負けねぇよ。神秘の世界だからな!』
『春斗、神秘の意味しってんのか?』
『えーそれ今聞く?』
小さい笑いが生まれこれから大変な計画が待っているとは思えないほど穏やかな空気に包まれた。
『現実世界に帰ったらさ、みんなで海いこう!』
『おっいいねぇ♪』
秋斗さんは前をみたままニコニコしている。
『約束だからなっ』
『うん!約束。』
無邪気に差し出された春斗の小指に自分の小指を重ね俺は心の中で必ず全員生きて一緒に帰ると強く誓った。
