始めのうちは意外とあっさり登れていた。 だが現実は映画のように甘くない。 階を上がるにつれ腕や足が限界の警告を発しているようにガタガタ震えだし汗ばんだ手はかなり滑る。 どうにか滑らない足を必死に突っ張りこらえながらやっと15階。 『くっ……』 ハァ―…ハァ―… 『頑張れ。裕!もう少しだ。』 春斗もだいぶキツそうだ。 『あぁ。わかってるよ。』 ここは電波が届きにくいのか母さんが何か言っているが途切れ途切れでわからない。