世の中の



―あいつ、どこ行ったんだ

中に入った唯を探すため、仁は息を切らしながら走っていた。

犯人がいたらもちろんのこと、仮に犯人がいなくても、ここはまだ建設中の建物だ。
100%安全ってわけでもない。
それに今は深夜だ。
暗くてよく見えない。怪我をする恐れもある
「唯!!どこ行った」

叫んだと同時に奥の方から悲鳴が聞こえた

「キャーーー!!」

仁は全身から鳥肌がたつ。

「ゆ…唯!!」

普段の仁とは考えられないほど焦っていた

―無事でいてくれ!!

仁は声がした方へ急いで向かった

―いたっ!!!

「唯!!」

床にうずくまる唯の元に急いで駆け寄った
右腕から血を流している

「大丈夫…じゃないよな?」

「当たり前でしょ」

口調は強気だが、顔をしかめているところから、どれくらいの痛さか容易に予想が出来た。
「病院行くか?」

「病院行ったらここに侵入したことバレるじゃん」

「それもそうだな」

納得したように言った仁は自分の服の一部をちぎり唯の腕に巻き、おぶった。ここから出ることにした。

―新一の知り合いに、医者っていたっけな?

そんなことを思いながら、部屋を後にした