私が声をかける前に 先に宮本が気ずいた。 「ミヤ・・・あのね・・」 私が切り出すと 宮本の右手が私の言葉を 制止する。 宮本は膝に手を置いて 息を整える。 心の準備。 大きな目が私をとらえる。 髪は汗でくしゃくしゃだけど それでもかっこよっかった。 「ミヤ、きちんとあの事・・・・」 「由香」 人さし指を私の唇に 触れるくらいに 差し出す。 その人さし指は少し震えていた。