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施設の入り口にちょっとした人だかりができていた。

マザーと向かい合うように立っているのは、数人の子どもたち。その後ろには、夫婦と思われる男女の組がいた。

「今日、この日をあなたたちが迎えられて、私はとても嬉しいですよ」

子どもたち一人一人の顔をまっすぐに見つめたマザーは、一番小さな子どもの目線にあわせるようにしゃがみ込むと微笑んだ。

「まざー……
今までありがとぅっ
ぜったいぜったい、しあわせになるからね」

一番小さな子どもは、大きな瞳にこぼれんばかりの涙を浮かべ、マザーにしがみついた。

マザーは、その子どもの頭を優しくなで、ハンカチを取り出すと、涙を拭ってやった。

「そうですよ。
あなたたちは幸せになるために生まれてきたのですから。
さあ、空をみて」