矢那の手を振りほどいて、力の限りに希螺は叫んだ。
睨みつける先にいるはずの矢那の顔が何故かよく見えない。

いつの間にか、目からは涙が流れていた。

涙を拭き、改めて前を見据えると、呆けたような顔をしている矢那の横に、レフィが立っていた。
その瞳には強い意志のようなものが浮かんでいる。そしてそれはまっすぐに希螺へと向けられる。

「すまない」

ポツリと、しかしはっきりした声でレフィは頭を下げた。

「君の大切な人たちを守れなかったこと、後からいくらでも責めてくれていい。しかし少しだけ待ってくれ。先に……あの元種をどうにかしてからだ」

レフィが頭を上げる。

「元……種?」