「納得したみたいだな。じゃ、とりあえずレイスを呼んでやるから、お前はちっとばかし俺の相手をしろ」

満足そうに頷いた男が部屋の中へと歩きながら、希螺の方へと手招きをする。

しかし、希螺の足はすぐには動かなかった。

男の言葉の意味が分からなかったからだ。

「……あの、別にたいちょー呼んで……いただかなくても、自分一人で帰れます……ケド」

忙しいレイスを呼んでもらうのは気が引ける。

元はといえば自分が迷いこんだのが原因なのだから……

希螺がそう言うと、男の足が止まった。

「まあ、そう言うな。俺は今、ぶっちゃけ退屈だ。少しくらい相手してくれてもいいだろ?」

命令だとでも言った方がいいか?と、男は重ねて訊ねかけてくる。

そう言われると、希螺としては従わざるを得なかった。

しぶしぶ男の後に続くように部屋の中へと足を踏み入れる。

少しだけ期待もあった。

もしかしたら、先ほどの少女、朔夜もいるかもしれないのではという期待だった。