辺りを見渡しても、白い壁が廊下沿いに続いているだけで、何か部屋があるわけでもない。

すぐさま乗ってきたエレベーターで引き返すべきだったのに、今自分はこの廊下をただ道なりに歩いている。

マズい、帰らなければと思ってはみつつも、この特別なフロアに興味を持ってしまったのだった。

不安と好奇心の板挟みになりながら、慎重に一歩ずつ歩みを進めていく。

白を基調とした廊下の床には足音を消してしまうくらい厚いカーペットが敷き詰められている。

歩いていると、等間隔に美術品が並べられている。美術的価値や知識についてはちんぷんかんぷんだが、それが普段の自分の生活の中では決して目にする機会がないだろうということだけはわかった。

反対側には壁はなく、外が一望できた。

今までの中で一番高い場所にいることもその時理解した。

一度見ただけで近寄るのをやめる。

やっぱり高いところが好きではないのか?と、新たな自分を発見。