それから、しばらく互いに無言だった。
空気は泥でもまとったかのように重く、時より母が鼻をすする音だけが聞こえてくる。
しかし、少しして諦めたのか、ゆっくりと階段を下りていく音がした。
思わず小さな溜め息が漏れた。
再び、下から話し声が聞こえてくる。
私はハッとしてドアの前から立ち上がると、急いでパソコンの前に駆け寄った。
自分の中の何かに突き動かされるようにして、震える指で起動ボタンを押した。
画面が映し出される、わずかな時間さえもどかしい。
そして、ひきこもりTOWNのホームページへ飛ぶと、近くにあったノートの余白にペンを走らせた。
外から、車のエンジン音が轟き響いている。
遠くなっていく、その音を聞きながら、私は起動させたばかりのパソコンの電源を切った。
そしてドアにもたれかかりながら、しばらくノートに書き写された数字を見つめていた。

