「・・・これで、解ったろ?男なんてやろうと思えば力ずくでやれるんだよ」
矢崎さん。
「もう・・・俺なんか・・・やめろよ・・・」
矢崎さん。
その言葉で、矢崎さんを見ると・・・今まで見たことのない寂しそうな顔。
「あ・・・あの・・」
私が言葉を発すると、腕をやさしく掴んでベッドに座らせてくれた。
「ごめんな。・・・やりすぎた・・・」
「ちがっ・・・私が・・・怒らせたから・・・ごめんなさ・・・」
言い終わる前に・・・ふわっと抱きしめられて。
・・・息が・・・止まるかと思った。
「頼むから・・・俺なんかのせいで自棄にならないでくれ・・・」
「・・・だって・・・」
「ん?」
さっきとはまるで違う声。
優しくて、温かい。
「・・・なんだもん」
「ん?なに?」
「・・・矢崎さんが・・・好きなんだもん。どうしようも無いんだもん・・・」
矢崎さんの温かい腕の中で、泣きながら・・・また告白してた。
「・・・・柊子ちゃん・・・」
体をそっと離そうとするけど、私がしがみ付いて離れなかった。
「矢崎さんがいいの。矢崎さんじゃないと・・・ダメなんだもん・・・」
まるで駄々っ子だ。
「はぁ・・・」
ため息が聞こえて。
ドキッとする。
呆れられちゃったかな。
「・・・・参った」
「え?」
「柊子ちゃんには・・降参だ」
「ほぇ?」
降参?
意味が解らなくて、矢崎さんを見上げる。