君は嘘が下手だ。 嘘をつく時は決まって後ろ髪に手を突っ込んで 長くて綺麗な髪を毛先までサラサラと梳く。 僕は今まさに君がそうしているのを、ただ綺麗だと思い、見とれてしまう。 「好きだよ、アツシだけだから。」 そのしぐささえなければ、 僕が君のその癖さえ知らなければ、 すんなりと騙されてしまうほど、君は完ぺきな笑顔で僕に言う。 どこかがズキズキと痛むような気がするが、 僕はそれに気づかないふりをして微笑み返す。 「分かってるよ。」