「え…」
戸惑いはすぐに悲しみに変わった。
リングはリングでもピンキーリング、小指用の小さいものだった。
『ごめんな、薬指にはめられるやつじゃなくて。
妻と別れたらちゃんと薬指にはめるやつ買ってやるから。
それまではこれで我慢しててな。』
優太は結衣の頭を優しくなでる。
結衣は「別れる気なんかないくせに」と叫びたくなる衝動に駆られたが、それを必死で抑え、かわいらしく微笑んだ。
「うんん、すごく嬉しいよ。ありがとう。ご飯食べようか。」
『そうだな。』
ロールキャベツとご飯、それにシーザーサラダをテーブルに並べて、2人は仲良く食事をした。
結衣は大学のこと、友達のこと、バイト先のお客さんのこと、たくさんのことを話す。
優太はそれに飽きることなく相槌を打つ。
それはとても幸せそうなカップルそのものだった。

