遠くなっていく背中に小さな声で呟いた。

あたしには分からない岡田くんの世界。
あの人達は三組の人?
いつも一緒なの?

一度気になりだしたら止まらない人間の心理。
あたし、岡田くんの名前すらちゃんと知らないのにね。あたしの知らないあなたを、あの人達は知ってるって思うと、すごく寂しくなるよ。



「ハル……」


帰り道、一人彼の名前を呟いてみた。
頬を撫でるように生ぬるい風が吹く。

明日は雨かな?
厚い雲で覆われた空を見上げ、溜め息をついた。

憂鬱なのは、明日雨が降りそうだからじゃない。


今、あなたと一緒にいるのが他の人ってことが憂鬱なんだよ……。