君=月&海 〜貴方はそんな人でした〜

桜の木に近付けば近付くほど、シトラスの香りは強くなっている。



「………誰。」


突然、桜の木から声がした。
それも男子の声。


「……」

「……だから、誰。」

さっきよりも声が低くなった。怒ってるのかな?

「……宇美。狭山宇美(サヤマ ウミ)。」


「チッ女か、帰れ。」


「はぁ?」

「だから、帰れ。」