いそいそと寿の隣まで移動する。
そんな私を寿は頭を傾げて見ていて。
「ん?なに?」
今日ぐらいはいいかもしれない。
寿のことを、
「お兄ちゃん」
って呼んだって。
「おにっ…!!!」
「あ、でも双子やしな」
「やばい、心臓に何か刺さった」
「はい?」
わざとらしく胸に手を当てる寿の顔は真っ赤で。
そんなに嬉しいんかな?
「ゆいっ、お兄ちゃんの腕の中に…!!!」
「あ、せや修学旅行に使う鞄探そ」
「ぶぶっ!!!」
サッとソファーから立ち上がり、代わりにクッションを寿の顔に埋める。
こういうのは早めに用意しとかなねーっと。
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