『あ…。』



スカートに零れた牛乳。

鈴奈はそこで硬直していた。


雨の日が多くなってきた6月。


鈴奈の身に一体何があったのかというと、

それは給食当番でクラスの分の開いた牛乳パックを運んでいるときだった。



『うぅ…汚い。』



手を汚すことを極端に嫌う鈴奈にとって、

その作業は地獄だった。

幾つかのパックの上に微妙に牛乳が残っていることに気づかない鈴奈は、

縦に持ってしまった。


ピチョン…ピチョン…。




『あ…。』



スカートの上に牛乳が垂れてしまったのだ。

それもけっこうの量。



『どど…どうしよう…。』



とにかく横に持ち直したものの、

動けばスカートの上を牛乳の雫が伝い、

上履きの方まで…。


だからといってこの通路をこのまま塞ぐ訳にもいかない。



(もお…どうしよう。)



途方に暮れているときだった。



『ほら、貸せよ。スカートこれで拭け。』

『は、はい??』