「ねぇ? 貴女、何者?」


そんなことをいきなり聞かれたのは、一年生の終わりごろ。
昼放課に、クラスの女の子から聞かれた。

「えっ!?」

私はいきなりのことで、驚きを隠せなかった。
「やっぱり、何かあるでしょ? 黙ってないで、いいなさいよ!!」
「何も、ないよ……。マリアちゃんの、思い違いじゃない?」
私がマリアちゃんに、こう答えると、マリアちゃんは笑いながら、言った。
「おかしいじゃない? あんた、どこかおかしいじゃない? まるで、化物のようね!」
「えっ……」
どうして……?
マリアちゃんは、私の正体を気づいたの?
でも、そんなはずない!
だって、マリアちゃんは普通の人間……のはず……。
じゃあ、どうして?
「ねぇ? 何、黙ってるの? この私に、秘密ごとなんて許さない!」
「マリアちゃんは人間? それとも……」
「ふざけないで!!!」
私の言葉は、マリアちゃんの言葉で、さえぎられてしまった。
「私は、ただの人間よ。でも、あんたは違うでしょ? だって、匂いが違うもの……」
匂いが違う?
人間とって、ことかな?
でも、普通の人間に、ここまで優れた嗅覚はないはず……。
ということは、やっぱり人間じゃない!
「ねぇ? マリアちゃんは、狼人間?」
マリアちゃんの顔に、焦りが出る。
「やっぱり、貴女も、人間じゃないんだね!」
そう言うと、マリアちゃんはまた、笑い出した。
「そうよ! 私は狼人間よ!! あんたは、ヴァンパイアでしょ?」
「よく、わかったわね! でも、ヴァンパイアだったら、なんだと言うの?」


「私は、ヴァンパイアが嫌いなの! だから、あんたに消えて欲しいのよ!!!」