【綾】



教室に戻った私は剛くんに体育館シューズを返して


「ありがとう」


と言ったら


「別にいいよ。次は体育館シューズなんて忘れるなよ」



と、シューズを受け取って指定のシューズボックスに仕舞い、席に着いて顔を伏せて寝てしまった。



周りから色々言われても気にせず堂々としている姿がとても格好よかった

剛くんの優しさに惹かれて、私は剛くんを見るだけで顔が赤くなる。



これが恋だったことを知ったのは家に帰って姉に話したときだった。


「あんた単純だね(笑)」

「単純かな?」


姉に笑われたけど、初めての恋だから全然分からなかった。

でも、何故かとても幸せな気分だった。