「倉野さん、休憩入っていいよ」


「はい」


ロッカーに寄って財布とケータイを持って、社員食堂へと歩く。


歩きながら、ケータイを開き、そこにあった着信の文字。


【西原くん】



…ん?

─んん!?

着信のあった時間を見ると、30分前。



私は急いでかけ直した。


「もしもし」

「西原くん、あの、電話くれた?」

「おお~、倉野!ああ、お前の声、ほんと力抜けるわ」


屈託のない声で笑う。


自然と笑顔になる自分に気づき、西原くんに名前を呼ばれることが嬉しいことなんだ、て再確認する。


「どうしたの?」


「西原直樹、無事に帰って参りました」

「え、あ!おかえり―!!良かった~、元気そうで」

「報告、っつうか、色々話したいし、飲みにでも行かないかな、てね」

「あ、ああ。みんなで?」

「や。二人で」



まるで何でもない風に、西原くんはサクッと言った。