ここはどこなんだろう。暗い。
 目の前には二つ、棺がある。知っている。私はこの棺を知っている。
 中にはパパとママ。特にパパの顔はめっちゃくちゃに潰されていて。それに比べてママには首に一つ、あるだけで。
 犯人はママのストーカーだった。カッコイイけど気持ちの悪い男。
 忘れようとしてたのに。なんで今更になって、こんな夢を見ているのだろう。
 ああ、そうか。今日――もしくは明日――はアイツが出所する日なんだ。パパの体ををめちゃくちゃに壊して、ママの心をめちゃくちゃに壊したヤツが。
 どうして裁判官の人は死刑にして下さらなかったのだろう。みんな、辛い思いをしたのに。
 憎い。ヤツが憎い。どうしようもなく憎い。私の幸せを奪ったアイツが。
 ねぇ、パパ。ねぇ、ママ。私はどうやったら幸せになれるのかな。