「ソラはマゾなんだ!でも、オレはソラにそんな性癖があったって愛するよ!だってオレは――!」
 考えるより先に手が出ていた。野村が頬を押さえて座り込む。周りの器具が倒れる大きな音がした。
「ソラは嫌がってんだ。それでお前を殺したいって泣いてんだ。」
 馬乗りになって、野村を殴る。野村も抵抗したがオレみたいな大男に勉強やストーカーばっかしてるヤツが敵うはずない。
 皮膚が裂ける。血が出てくる。
 もし、これがばれたらオレはサッカー部退部だ。しかも、全国大会出場が取り消しになる。それでも、オレは殴り続けた。
 オレは野村が死んでしまえばいいと思っていた。
 ソラを傷付けてばかりの野村。それを全くわかっていない野村。
 一時間目の予鈴でオレは我に返る。
 野村は死んだようにぴくりとも動かない。キレイだった顔が歪んでいる。イイキミダ。
 このまま野村が死んで、オレが捕まってもオレは後悔しないだろう。ソラを、守れたのだから。