「レン!」
 病室に行くと愛姫は嬉しそうな顔をしていた。僕は愛姫に駆け寄る。
 大きく膨らんだお腹。この中に僕たちの子供がいるのだと思うと、今でも不思議な気分だ。
「名前、決めてくれた?」
「うん。」
 僕は手帳を開いた。三日三晩寝ずに、働いている間も、一生懸命考えた名前が男の子と女の子、三つずつ候補が書いてある。
「男の子だったら、歩か澪野か海。」
「女の子だったら?」
「花音か夢月か梓。」
「全部素敵!」
 愛姫は僕に抱き着く。愛姫に似たら、男の子でも女の子でも愛姫に似たらさぞ美人になるだろう。でも、愛姫は僕に似た子供が欲しいと言っているから不思議なものだ。
「ね、柚姫は?」
「柚姫は会議が終わったら来るって。」
 幸せだ。