ちょうど夕日が落ちた頃合に京についた。

京の街は昼間より夜のほうがにぎやかな街だ。

提灯が灯りをともし、着物姿の女性が歩き、あの武士でさえも今は気を許している。

子供はほとんど歩いていない。

これが俗に言う"大人の街"だ。

「なぁ、亜一よお…。ここの店、いい感じだよなぁ」

そんな京の街を歩いてる時、絃竜が立ち止まりこういったのだ。

絃竜は行きたそうな眼で、それはまるでオモチャを欲しがる少年のように。

見た目は一見、高級な店住まいだが…

「ちょっ!絃竜…、ここって遊郭じゃ…!」

店を確認するや否や、驚く亜一。

「いいじゃねえか亜一…。これまでずっと森やら谷やらを歩いてきて、俺は疲れてるんだよ。癒しが欲しいんだよ!!」

すると絃竜はなりふりかまわず亜一の許可も得ず、強引に腕を引き、その遊郭へと入った。