あの忌々しい処刑から10年の時が流れた。

少年は青年へと成長していた。

彼の名は『霧小路 亜一(きりこうじ あひと)』。



あの事件直後、亜仙の近衛部隊隊長の『上下院 絃竜(かみしもいん げんりゅう)』に
保護され、10年という長い年月をかけ、亜一は立派な男へと育った。

そんな亜一がある日絃竜にこう問いかけた。

『僕の父はなぜ殺されたの?』

そのとき絃竜は知っていることすべてを亜一に語った。

父を殺したのは幕府だということ、なぜ父が殺されなければいけなかったのか…

絃竜はそのすべてを話しきった後に

『お前はこれを訊いてなにを想い、なにを目指す?
 お前が"意思"をもって自分の剣を握ったとき"すべて"が始まるぞ』

すると亜一は

『ここにいても何もはじまらないことはわかった。
 だから僕は自分の意思で剣を握る。』



こうして齢17歳の青年の旅が始まった。