目を開けると煉瓦が敷き詰められた天井。
見たことのない風景に戸惑う亜一。
「ん…んん…」
ゆっくり身体を起こしたが、ここがどこかわからない。
「おっ、気付いたか。」
絃竜が声をかけた。
見渡せば、入り口には檻が敷き詰められており、牢獄らしい。
すぐさま亜一は地面に耳をつけ、静止した。
「なにしてるんだ?」
「ここは地下みたいです。下からはなんの振動も伝わってきません」
なにが起こったか現状を把握する亜一。
「おまえってやつは… その辺は父親似だな
それより、この娘どうする?」
絃竜が顎先を少し動かし指示するように示した先には、先ほど助けようとした遊女が横た
わっていた。
無理矢理ここに連れ込んだあとがあり、入れられるときにでも投げられたのだろう。
そういえば亜一も体がきしむように痛い形跡がある。
するとまもなく遊女は身体を上げ、
「貴方たち…さっきの…っ痛」
やはり身体の痛みを主張した遊女。
「だ、大丈夫? ここに入れられるときに手荒にされたみたいで、それがきてるみたいだ…無理しないほうがいいよ」
「なんでさっきあんな真似したの」
心配かける亜一を余所目に遊女は怒り口調で言い放った。