バンッ!
そんな音が急に鳴り響き、私は夢から覚める。
音のした方向を見てみれば、それは窓のほうから聞こえてきて、カーテンを開けると鳩のような物体が何度も体当たりをしていた。
あまりにもしつこいので窓を開けてみると、舞い降りた鳩は見せ付けるようにして、足に付いている紙を私の目の前で振り回す。
「手紙?」
きつく結ばれた紙を解くと、鳩はすぐさま窓の外へと飛び立ってしまった。
変に思いつつも、紙を手に持ったまま部屋を見渡すと、やけに静かなことに気付く。フーリオの姿が見当たらない。
どこかに出ているのだろうと、特に心配することもなく手紙を開けば、そこにはたった今思い描いていた人からのメッセージ。
『おはよう、エマ
ちょっと用事があるから出かけてる。
ゆっくり朝食でも食べてて。
P.S.外には出ないこと!
フーリオ』
早起きなんだなぁと思いつつ、テーブルのほうを見てみれば。
「これ……食べ物?」
人類が食べるにはまだ早そうな、未知の食べ物が存在を主張していた。
確実に食べれなさそうな色をした物体は酷い臭いを放っていて、簡単な料理が作れそうなキッチンは、これまた酷い有様。
フーリオには悪いけれど、その料理を食べるのだけは無理。
料理の隣に『お腹いっぱいなの、ごめんなさい』というメモを置いて、ロビーへと足を伸ばすことにした。
