完璧に誤解された言葉を無視するように、フーリオの手を掴んだまま18号室へと踵を返した。
シンプルな扉には18という文字が浮き出ていて、鍵を使えばガチャッと金属質な音がする。
扉の先には広めの一室。ベッドが二つに、窓も二つ。花の香りがふんわりとした。
「まぁ、こんなものだろう。贅沢は言ってられないしね」
フーリオは部屋を見渡すと窓の方まで近づいて、カーテンを勢いよく閉める。電気をつけていなかった部屋は、急に薄暗くなり、気のせいか蒸し暑くなった。
私が扉から離れようとすると、鍵を閉めるように言うフーリオ。
鍵をカウンターに置くと、ソファに座っていた彼が隣に座るよう手で示す。
それにつられて、人一人入るくらいの距離を空けて座れば、フーリオはいきなり立ち上がる。何をするのか注意深く見つめると、大きく深呼吸してから彼は口を開いた。
「さっきは言えなかったけど、キミに言っておくことがある。これから一緒に行動するからね、隠し事はなしにするよ」
そう言いながら、フーリオはそっとフードへと手を伸ばした。ゆっくりと取られるフードからは、徐々に見え始める彼の顔。
私は思わず息を呑んだ。
