「絶対に、逃げた後も私を殺さないって誓えますか?」

 言葉だけ聞いてしまえば恐ろしいものだけれど、これは私の生死に関わってくる。

 もしこれまでの話しが逃げ出すための作り話なら、私の命は彼が自由になった時点でおしまいだ。たらりと冷や汗が流れたのを感じながら、返ってくる答えを待った。


「――もちろんだ。オレは絶対にキミを守る。この命が尽きようとも」

 左手を心臓に当て、そう言い終えたフーリオ。ちょっとやりすぎな台詞に照れながらも、宜しくの意味も込めて微笑めば――

 彼はいきなり何かの呪文を唱え始める。
 唐突過ぎる展開に思わず身構えると、呪文を唱えながらも苦笑いされてしまった。

 唱え終わったのか、フーリオが左手で指を鳴らすと一枚の紙と羽ペンがその場に現れる。目にも留まらぬ速さでサインし終えると、その紙とペンは私にも差し出された。


 先ほどの『監房監視係』以来の長すぎる説明に、少しだけ嫌気がさす。目を細めつつも、読もうと努めてみるものの……。

 これは一体何処の言葉なのだろう。全く分からない。