太陽の光を遮断する階段の上にある玉座からは、ゆったりとした動作で降りてくる男性。
静寂を表す深い青色の髪に縁取られた顔には、彫刻のように整った鼻、口、瞳が並べられている。
エメラルドグリーンの瞳には、僅かな苛立ちが含まれているような気もした。
私を羽交い絞めにしていた兵士達は、その人物を見るや否や危険なものを投げ捨てるかのように、すぐさま私を放す。
それがあまりにも乱暴で、その場でバランスを崩してしまいそうになると――
転んでしまうはずだった体は、何か温かい風のような塊に抱き起こされる。
何が起こったのか分からずに、自分の体をぺたぺたと触って確かめていると、段々と近づいてくる人物の笑い声が聞こえてきた。
「ハハハハッ、大丈夫ですか? 失礼な真似をしてしまい、申し訳ありません。よく来てくれましたね。……ここだけの話し、来ないかと心配してましたよ?」
はにかみながらそう話しかけてくるのは、今まで雲の上の存在だと思っていたエヴァン・オーデン。
国どころか世界の最高権力である存在と話している自分の姿など、誰が想像しただろうか。
あまりにも意外な有名人の姿に、何の言葉もしゃべれない私は酸欠気味の魚のようになっていた。
それに加えて、直後。肩へと置かれた手に、電気でも流したかのように飛び上がってしまう。
