近づくにつれて見えてくるのは、天まで届きそうな勢いの巨大な門。その両端には、重そうな鎧を身に纏った兵士が二人。
私が苦笑いで門まで近づけば、身長の倍はありそうな槍が二人の間で交差される。
中からはファンファレーの音が微かに聞こえ、既に式が始まっていることを再確認させられた。
「あのっ!! 今日から『マギ討伐隊』に配属された者ですが、入れていただけませんか?」
少し乱れた息を整え、必死に懇願する私をみた兵士達は、表情の分からない顔を見合わせる。
そしてその後。右のほうに居た兵士は、私にその場で待つように言い、もう片方の兵士は、腕にはめられた魔道具で誰かと連絡を取っているようだった。
話しの内容が気になり、耳を澄ましてみれば、配属された人たちの人数を照らし合わせている様子。
話しの内容を聞く限りでは、どうやら一人足りないらしい。
もたもたとしている通話相手に痺れを切らした兵士が、パチンッと指を鳴らせば魔道具から顔写真が飛び出してきた。
腰まで伸びる、明るいブラウンの髪。喜ぶべきか悲しむべきか分からない、血色の悪い真っ白な肌。
緩やかなカーブを描いた口元に加えて、色素の薄い瞳の中の表情は、喜びに満ちているように見える。
間違えるはずもない。数日前に『マギ討伐隊』へと送った、自分の写真以外の何モノでもなかった。
